BTO&SCM

2009年03月01日

楽天ネット通販の海外進出は成功するか?

楽天が2月13日に発表した08年12月期の決算は営業利益、経常利益ともに最高を更新したと報じられており、ネット通販サイト「楽天市場」がこの大不況の最中でも好調で、ネット通販は安さや便利さを求める利用者を獲得し、不況に強いことを裏づけています。

楽天は「楽天市場」の海外進出にも意欲を示しており、日経新聞1月19日朝刊にネット通販 楽天、中韓などで展開 現地語版のサイト開設の記事が出ています。 

トヨタ、ホンダなどの自動車やソニー、パナソニック、キャノンなどのデジタル家電などの日本ブランド商品の海外展開は成功している(今では海外が主市場となりつつある)が、日本ブランドのネット通販のビジネスモデルの海外進出は緒についたばかりで、果たして成功するのか大いに興味があるところです。

商品のアーキテクチャー(部品要素と設計思想)には組合わせ型(オープン&モジュラー型:パソコンなど)擦り合わせ型(クローズ&インテグラル型:自動車など)があり、パソコンは「オープン・アーキテクチャー」となり、標準化された規格や共通部品化(モジュラー化)が進んだ結果、パソコン事業への参入障壁が低くなり、コモディティ商品化するとともに、グローバルな競争が激化して熾烈な価格競争が起き、日本勢の海外進出は失敗し日本市場に閉じこもっています。

海外で成功している自動車は他の車とは違う「個性」が売り物です。 デザインの好みや乗り心地などのテイストが重視されます。 つまり、自動車は色々なノウハウが「クローズド・アーキテクチャー」のままで良いことに、そのコア・コンピタンスの本質があります。 

楽天に代表される日の丸「ネット通販」のビジネスモデルは、自動車型(擦り合わせ型)かパソコン型(組合せ型)かどちらだろうか?

私は日の丸パソコンが海外進出に失敗したのは、パソコンは情報処理ツールである本質が背景にあり、言語の壁・文化の壁にハンディがある日本勢(日本パソコンメーカー)には、グローバルな英語文化圏をホームグラウンドとした米国勢(DELLやHP、マイクロソフト)には、最初から勝ち目が少なかったのが、もう1つの敗退の要因だと思っています。

では、ネット通販の「楽天市場」はどうだろうか? ネット通販は販売する商品力やコンテンツの魅力度・分かりやすさ、価格の安さ、サイトの使い勝手、デリバリー力(速さ正確さ)、顧客満足度・サービスの良さ、などが海外現地のネット通販企業との競合ポイントです。  言語の壁・文化の壁にハンディがあるのはパソコンの場合より大きいかもしれません。

ネット通販は比較的簡単にインターネット上に構築でき参入障壁は低く「パソコン(組合せ)型」と同様ですが、その通販サイトにしかない商品やコンテンツの魅力度、ブランドイメージ、サイトデザイン、ネット特有の広告・集客ノウハウ、など「自動車型(擦り合わせ)型」の要素も多分に必要であり、どうやら「組合せ&擦り合わせの折衷型」のようです。

先に紹介した1月19日の日経新聞の「楽天、中韓などで展開」の記事のサマリーは次のとおりです。

・2月までに「楽天市場」の中国版や韓国版を作り、現地の言葉で買い物ができるようにする。 日本からの商品の発送の対象をアジアを中心に拡大する。

・「楽天市場」は昨年12月に英語版を完成し、決済まで英語でできるようにした。これまで海外から購入する客の多くが、自動翻訳機能を使って買い物をしていた。 米国からの利用者の8割が在外邦人であるのに対し、アジアは香港で9割、韓国で7割と現地人の割合が高い。

・中国や台湾、韓国、タイ、香港では日本の若い女性のファッションに対する関心が高く、海外からの注文では女性向けの洋服や日用雑貨、アクセサリーの人気が高い。

・ネットを使った販促活動も強化する。検索サイト(現地語の)で「ジャパン」、「ファッション」などと入力すると、楽天市場が上位表示される広告を買う。

・楽天が商品の配送サービスを提供する国・地域も現在の12から27に拡大。マレーシアやベトナムを新たに加える。 海外でのネット通販の取引金額は現在、日額300万〜400万円で全体の1%に満たない。 三木谷社長は、「5年以内に国内と海外の売上高比率を1対1にする」と述べ、5年後の海外での年間取扱高を1兆円規模にする方針を示した。

以上が記事のサマリーで、現在は1%に満たない海外からの売上を5年後には1兆円規模に伸ばすというから、壮大なチャレンジです。

しかし、現在の楽天市場の国際配送ページの英語版を見てみると、海外進出にそんなに意欲的に取り組んで投資しているとはとても感じられません。

楽天国際配送ページ800x429

というのは、海外向けページは日本語ページをGoogleの自動翻訳機能を使って表示しているだけです。 ご存知のようにGoogleの自動翻訳だけでは、翻訳が不完全なところが多く残りますが、そのまま放置されています。

上の画像は「楽天の国際配送ページ」で上部にGoogleの自動翻訳機能で日本語から自動翻訳されています、と表示されています。 個別商品ページに至っては、日本国内限定の「送料無料」が、そのまま「Free Shippinng」と翻訳されています。 海外まで送料無料ならば大赤字です。  商品仕様の翻訳不能のところは日本語のまま残されています。 いかにも安直で、これでは確かに海外在住の邦人くらいしか買いに来ないでしょう。

日本からの発送が前提なので、商品が届くまでは通関も入れると速くとも1週間ほどかかります。 送料は重量見合いですが、1.5kg〜2.0kgの商品で北米は4,000円、アジアは3,000円、3.5〜4.0kgだと北米6,800円、アジア5,000円も掛かります。  日本文化や日本商品に格別に関心がある人なら気にはならないかもしれませんが、アジアの一般の利用者には、かなり割高でネット通販の強みである「安さ」、「速さ」の強みが発揮できていません。 これでは、アジアの現地通販企業には勝てないと思われます。

楽天市場と競合するショッピングモールAmazonが米国での成功モデルを日本に持ち込み、日本法人を作り、数年間は赤字覚悟で膨大な投資をし、多くの日本人スタッフを雇い、徹底して日本ローカライズして、商品在庫も日本で持ち、強力なサプライチェーンを作り上げ、サイトもキチンとした日本語で作り、最初は本やCD・DVDから初め、日本の顧客ファンを増やし、徐々に取扱商品を増やし、今ではファッション、家電から食品までと総合モールに拡大し成功している例が逆進出のお手本として、手法の比較対象として参考になります。 

日の丸通販の「楽天市場」の海外進出に期待していますが、現時点では、楽天の海外進出はいかにも中途半端で、成功は容易ではないように映ります。

参考:ネット通販は不況に強い!?

「擦り合わせ型」の日本、「組み合わせ型」のアメリカ

主要ショッピングサイトの総利用時間は大きく増加

※本記事は「@あるん(あっとあるん)の団塊・シニアのコミュニティー」との連携投稿です。


2008年07月21日

ソニー、「受注生産方式パソコンを世界展開」に意外な驚き

久しく見なかった「パソコンの受注生産」、「CTO」という言葉が、7月5日の日経新聞朝刊13面に載っていました。

ソニーが「受注生産方式のパソコンの販売を世界で展開する」という記事に興味をそそられました。

(記事の要旨)

・受注生産方式のパソコン販売を従来は日本と米国だけで提供していたが、中国と南米で始めた。 今秋には欧州でも開始する。

・パソコン事業で年間売上高1兆円という中期目標の達成に向け、まず2008年度の世界全体の総販売台数を前年度比3割増の680万台に引き上げる。

・受注生産方式の事業を拡大するほか、新興国市場の開拓も強化する。ブラジルでは汎用機の委託生産を進め、ロシアでは富裕層向けの販路を築き、UAEのドバイの現地法人を強化する。

・ソニーのパソコン「バイオ」の07年度の販売台数(世界)は前年度比3割増の520万台。 これは世界シェア2%にとどまる。 ソニーはパソコンの売上高を10年度までに1兆円に引き上げる計画を打ち出している。 日米で好調なオーダーメイド方式(CTO)を核に、パソコン分野でもブランドイメージを高め、HP(ヒューレットパッカード)などの米国や台湾メーカーを追い上げる。

以上が記事の内容ですが、私が関心をもったのは、「日米で好調なオーダーメイド方式(CTO)を核に」ということと、「日本のパソコン市場では、シェアが6位(6.7%)、出荷台数も87万台(2007年度)に過ぎないソニーが、世界シェアも2%にとどまるソニーが、パソコン事業を中核事業の1つとして位置づけ1兆円事業を目指すという大きな旗をぶち上げた」ことです。

しかも、最近、とんと見聞きしなくなった「注文生産方式(BTO)、オーダーメイド方式(CTO)」を核にして1兆円事業を目指すというのは、大変意外であり新鮮です。

ソニーは「ソニースタイル」で店舗でもネットでもオーダーメイド(CTO)ができるVAIOブランドのパソコンを展開していますが、日本では価格も高く、さほど成功しているようには見えません。 が、海外では成功しているのでしょうか、また、オーダーメイド(CTO)方式が新興国市場でそれほどの原動力になりうるのか?という率直な疑問も感じます。 

というのは、世界市場では、5万円前後の低価格の超小型パソコンが大ヒットしており、新興国市場は低価格パソコンが主戦場であろうし、世界では既にHP、DELLなど世界シェアトップメーカーが新興国でも販売を伸ばしています。 ソニーのブランド力を持ってしてもCTOパソコンはどれだけの力を発揮するのだろうか? そう簡単ではないだろう。

しかし、世界のパソコン市場でわずか2%のシェアに過ぎないソニーが、撤退するのではなく、日本市場はさておき、世界市場で、とりわけ新興国市場開拓で、まだ1兆円ビジネスに伸ばせるチャンスがあると判断していること、中期計画で内外に旗幟鮮明にし積極投資もするとしたことは大いに注目に値します。

それに引き替え、国内パソコンシェア1位、2位常連のNEC、富士通は相変わらず国内ではまだ存在感がありますが、海外ではシェアは皆無に近く内弁慶の状態が長年続いています。 世界的なブランド力があるソニーとは違って海外に打って出るのは容易ではなく、NEC、富士通は過去に海外進出に失敗・撤退しており、海外市場への再チャレンジはやりたくてもできないのかもしれません。

しかし、世界市場の1割に満たない日本市場で、HPやDELL、エイサーなど海外PCメーカーとの過当競争にされされていては、内弁慶の地位も危ぶまれるのではないでしょうか。 そのような意味でも、ソニーの今回の世界市場を視野にしてパソコンビジネスを立て直そうという中期計画は注目されます。

 

<参考>2007年のパソコン世界出荷台数は前年比13.4%増,首位はHP

ソニー、新中期経営方針 BD・パソコンも売上高1兆円に

2007年度のパソコン国内出荷,日本HPやデルがシェアを拡大

NEC、オールアバウトと提携・パソコンのネット直販強化

間接販売と直接販売(直販モデル)

・デル、ダイレクトモデルの輝きをとり戻せるか?

 


2008年04月07日

日本の宅配便は素晴らしい!−宅配便西洋事情

ネットショップは、ネットで商品を注文していただき、迅速に商品を安全確実にお届けするビジネスですので、下流のサプライチェーンとして宅配便の存在なくしては成り立ちません。 

「バーチャル系」のネットビジネス(ネットショップなど)と「リアル系」の世界をつなぐのが宅配業者・宅配便であり、共存共栄の関係ですが、その宅配便のサービス・パフォーマンスの良さがネットビジネスを支えているといっても過言ではありません。

日本の宅配便のサービスレベルはとても素晴らしく感嘆ものです。 沖縄・離島を除いて日本全国どこでも最短で1〜2日で届きます。 しかも、配達日と細かい配達時間指定(土日含めて午前、午後2時間おき、夜間6時〜9時)もできます。 不在の時には、不在配達票が入り、電話をすればその日の内に夜でも再配達してくれます。 また、都合が悪くなれば、指定した配達日時を直前でも変えてくれる融通も利きます。 

また、代金引換え、電子マネーなどの決済サービスや食品などのクール便など多様なサービスを提供しています。 この配達時間精度の高さと大事な荷物を安全確実に届けてくれる信頼度の高さは、実は日本だけのようです。 日本の宅配便のサービス水準は世界一で、国際比較で見ると有りえない過剰とも言えるほどのとてつもないサービスの良さなのです。

では、海外の宅配便事情はどうなのか?  ネットで海外の宅配便事情を調べてみると、まとまった「海外宅配便事情」的な資料は発見できなかったのですが、海外に住んでいる(住んだ)方が一様に、日本の宅配便の素晴らしさ、凄さをブログで投稿されています。  検索した中から海外の実情が分かる記事をピックアップしてみました。

1)スウェーデン滞在の方のブログスウェーデンに戻ってきたばかりだと言うのに、日本の恋しいものを書いちゃいます。 →第2位:宅急便〜!クロネコやら、セールスドライバー、着払いに、電子マネー使用可、なんて素晴らしいシステム!
宅急便のおかげで、自家用車を持たない人、お年寄り、体の不自由な方、不便な場所に住んでいる人、その他にも、普通に忙しい毎日を送る人々、みーんな便利な生活が出来る。
宅急便というシステムが存在しないスウェーデン。めちゃ不便!車の運転が出来ない人は、大きな荷物も運べないし、重い荷物の運搬もいつも誰かに頼まないといけない。成田空港へのスーツケース配達も、いつも「楽だな〜」としみじみ・・・

(ちなみに、この方の恋しいもの第1位は「ウオッシュレットのトイレ」でした!)

2)ドイツ滞在の方のブログドイツでは、日本の宅配便に相当するサービスが存在していないため、小包はすべてドイツポスト、つまり郵便局を利用することになりますが、受け取り時間の指定はもちろん受取日の指定すらできません。ですから、一度受け取りを逃してしまうと、ドイツポストの営業時間内に不在通知に指定された局へ行き荷物を受け取る必要があります。

3)フランス滞在の方のブログフランスでは・・・家にずっといたのに不在者配達が入ってて、どんなに大きな荷物でも郵便局まで引き取りにいかなければならず、郵便局には長い列。いやいや、不在者配達が入っていればいいほうかも。それすら入ってなくて、日本に送り返された話も珍しくないもんねぇ

4)シンガポールから帰国された方のブログ:第13話 宅配便・・・日本の宅配便のサービスの変化にはびっくり。いつのまにかサービスの種類が豊富になっているんですね。そして、一番びっくりしたのが、2時間毎に設定できる受け取り時間です。しかも夜遅くまで対応してくれているのにびっくりです。

というのも、こんなサービスはきっと日本だけではないでしょうか?そして、日本だからこそ出来るサービスかな?と思います。もし、シンガポールであったら、2時間毎で指定しても、きっとその時間には来ないでしょうし、来たらもうびっくりもの!そして、受け取る側もその時間きちんといるかどうか何だか不安です。多分いる確率は半分以下でしょう(笑)。それにしても、寒い中、そして遅い時間でも元気に笑顔で配達してくれる日本の宅配便のドライバーの皆さんには、本当に頭が下がります。日本はすごい国ですよ。

5)アメリカに滞在の方のブログ:アメリカの宅配便は超不便・・・車がなくて遠くへお買い物に出かけられないため、日本でもときどき使っているAmazon.comの通販を使ってみました。昼間はアパートにはいないので、UPSの不在通知がドアに貼られていました。UPSは3回まで配達してくれて、それでも受け取りができなかったら荷物を返送してしまうようです。 そういうわけで、あと2回のうちに受け取らなければならないのですが、困ったことに土日祝日の配達はありません。配達日は指定できますが、配達時間までは指定できないようです。こんなことでは一人暮らしの社会人とかだと荷物を受け取ることはできないのではないかと思ってしまいます。

日本ではクロネコヤマトの営業所までよく荷物を取りに行っていましたが、UPSの営業所はサクラメントにあるようなので、取りに行くことはできません。どうやら、平日にアパートでずっと荷物を待っているしかないようです。アメリカの宅配会社のサービスはどうしようもなく低レベルです。日本のクロネコヤマトは本当に素晴らしかったとただただ感動するばかりです。

☆→如何でしょう、我々日本人は当たり前のように思っている日本の宅配便のサービスが海外との比較では、如何に優れているか! 世界一!であるかが分かると思います。 素晴らしい物流システムを作り上げた日本の宅配便会社、また、それを末端で支えている宅配ドライバーさんに感謝多謝です。

<参考>宅配便−Wikipedia

(上記記事は、@あるん(あっとあるん):団塊シニアのお役立ち情報コミュニティとの同時投稿記事です。)


2007年07月07日

オフィス弁当屋:玉子屋−驚異の廃棄ロス0.1%以下

7/1(日)朝のNHK「経済羅針盤:1日7万食の弁当、人気の秘密」を観た。

<抜粋>東京のサラリーマンやOLなどから幅広い支持を得ている昼食弁当を作っている玉子屋。一日7万食を売り上げて、東京のオフィス街の「ランチ戦争」で一人勝ちとも言われる快進撃を続けています。玉子屋では、一日に何種類も作らず一種類の弁当を作るだけ。「一番自信が持てる弁当で直球勝負するだけ」と菅原社長が考えているからです。毎朝注文を受け、そこから正午までに確実に必要な弁当を届けることで利用者の信頼を得ていますが、それを実現するために様々なノウハウを活用しています。さらに、メニューの開発には最も力を入れ、お客さんの反応を取り入れながら「飽きないメニュー」を作り出しています。</抜粋>

玉子屋は1日7万食という規模からすると、世界最大の昼飯デリバリー屋さんらしい。私はBTO(注文生産)SCM(サプライチェーンマネジメント)が興味分野だから、この玉子屋の「1日7万食も作って、廃棄率0.1%以下を実現」している驚異的な効率の良さに驚いた。 TVでは、ITシステムなどを使わずに、電話注文と人間による集計処理で、この日の弁当注文は60,453個、この週の余りは平均6個/日と言っていたから、実に0.01%しか余り(廃棄ロス)を出さないとは神業的である。

どこにその秘密があるのだろうか?  次の記事にその秘密の一端が簡潔に記されていた。 「次元の見えない競争 --玉子屋のお弁当サービスのイノベーション--」 関連部分を一部抜粋しておきます。

<抜粋>当社がおいしい弁当を安く、確実に届けることが出来る秘密は三つある。一つは工場を1箇所に集中していることである。食材の大量購入かつ納入業者の物流効率化にも繋がる。その日に作る食材をその日に届けさせるので、冷蔵庫や冷凍庫も持たず、在庫も不要となる。二つ目は人の集約効果である。給食弁当は受注、製造や配達といった労働集約的な面が多く、集中するメリットがあるという。三つ目は配送システムである。注文が確定しないうちに見込みの数を積み遠隔地から届け初め、第一陣の配送車と注文確定後に出発する第二陣の配送車が途中の中継ポイントで弁当の過不足調整を行う。このような効率化の工夫で廃棄ロスは0.1%の低さを誇る。
 当社の方針としてこれらの工夫によってもたらされる利益は、給与や食材の高級化ということで従業員や顧客に還元している。当社は何をやらないかが明確である。フランチャイズ展開などの規模を追わず配達を都内に限定、営業マンを置かずとも配達の人間や口コミ効果で食数を伸ばしてきた。過去食中毒事件を起こしたことの反省も今の経営に生かされている。</抜粋>

秘密は「逆説」と「限定」の所与条件から、生み出さざるを得なかった長年の「こだわり」にあるようだ。

1)1種類の日替わり弁当のみ:一般には種類が多い方がよさそうだが、逆説的な1種類にこだわり、だからこそ、430円という割安価格を維持し、手抜きのない栄養バランスのよいメニューでないと飽きられてしまう。 1種類だからこそ、所要予測が立てやすく、エリヤ別の過不足への融通性も高い。 従って、廃棄ロスをミニマムにすることもやり易い。

2)首都圏限定の3時間制限:AM9からTELで注文受付開始して、10時で注文締め切り、12時までに配達必達。 これが絶対的な限定条件。 この範囲で創意工夫して、効率的なデリバリーシステムを作り上げるしかなかった。 これが、かえってほぼ固定的な顧客企業(約4,000ヶ所)を開拓できたことにもつながった。 これも所要予測の精度アップに貢献しているのだろう。

3)IT化など念頭にもなかったのだろう、規模を求めず、人間系の泥臭いチームワークで失敗を繰り返しながら、十何年もかけて出来上がった。(菅原社長の言では、「こだわれば、できてしまった仕組み」) 結果的にITを使わなくともよい規模の限定だから、逆に人間系の創意工夫が発揮できたのかもしれない。

玉子屋の理念菅原社長が、「雨の日は注文が多い、給料日前は注文が増える(懐具合がさびしいから)、週後半は注文が減る(営業は週後半に外回りが増える)、会社によっても肉好き、魚好きの性格がある」と言っていたのは面白かった。 さらに、この会社の逆説的な「企業理念」(左図)が面白い。

 

Ref:弁当業界の雄・玉子屋の秘密 その5

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2007年05月06日

デル、ダイレクトモデルの輝きをとり戻せるか?

以前2月16日に「デル、ダイレクトモデル失速の意味すること 」の記事を投稿した。  その後、4月18日に発表された2件の調査リポートによると、昨年後半に世界PC出荷台数シェア1位の座をDellから奪ったHPが、今年第1四半期(1月-3月期)も順調にシェアを伸ばした。一方のDellはシェアを落とし、依然として低迷を続けている。 

特に米国でのシェアダウンが大きい。 企業ユーザー市場がフラットな伸びにとどまり、個人ユーザー(リテール)市場は落ち込みが大きかった。 また、デスクトップPCからノートPCへのシフトが加速しており、デルはノートPCではコスト優位性が発揮できていないようだ。

デル(DELL)がどのようなリカバリープランを打ち出すのか注目していたが、まだドラスティックな施策は明示的になっていない。 しかし、デル関連ニュースをウオッチしていると、次なる手がおぼろげに見えてくる。

■DELLの最近のニュース

[WSJ]デル氏、成長促進に向けた計画を明らかに 

Dell memo hints at recovery plan

この2つの記事によると、デルは主として、.譽ぅフ、買収、4崟榿稜箒化、を考えているという。 

・DELLは新たに、グローバルコンシューマー部門を新設し、Motorolaの携帯部門トップだったロン・ギャリックス氏を引き抜き責任者に据えた。 また、製造や購買、サプライチェーンを担当するグローバルオペレーション&サプライチェーン部門を新設し、責任者にSolectronのCEOマイケル・キャノン氏を起用することを発表、1月末のデル氏のCEO復帰以来、大きな人事が続くことになる。(http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0702/17/news008.html

・「ダイレクトモデルは革命であったが、宗教ではない」とデル氏は従業員宛のメモに記している。 「これは間接流通を販売戦略に組み入れる可能性を示唆したものだ。小売りなどの間接流通チャネルへの進出は、Dellがこれまでよりも多くの人々にアプローチするための手段だ」とEndpoint Technologies Associatesのアナリスト、ロジャー・ケイ氏は指摘する。

・エマージングの"next billion consumers"の BRIC’s市場に注力、5月にブラジルで、7月にはインドで工場の稼働を開始する予定。

・企業市場では、競合他社は「顧客の環境に複雑性と不要なコストを持ち込もうとしている」と批判し、DELLはもっとシンプルなITサービスを導入するとしている。(具体的には何かよく分からない)

Dell、Linux採用を決断、Dellは、2月半ばから開始したDell IdeaStormで、ユーザの意見を募っていました。その中で、最も人気のある要望は、「Pre-Installed Linux」で、Dellは、ユーザの希望を叶えるためにLinux搭載PCの販売を決断した。(これは短期的には効かないが、中期的にはその意味が大きいかもしれない。 Ref2参照)

・生産とサプライチェーンに新しい手法を持ち込み、コスト優位性を取り戻す。(それは、Dellの手法を真似て追いついたHPなどを再度引き離すことだ。) 単なるコストカットではなく、重層化した組織と活動を見直す。(PC maker Dell outlines vision beyond direct sales.

Dellに上場廃止勧告,四半期報告書の提出遅延で、 Dell,会計処理ミスで決算報告が遅れる見通し


・デルジャパンでは目立った動きがまだ見えてこない。 2006年日本市場のパソコン出荷台数シェアでは、デルはシェアを14%伸ばしており、日本市場ではあまり危機感を感じていないようにも見える。(http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0703/06/news007.html、 ガートナー 2006年日本パソコン市場出荷速報(pdf))

■感想

創業者のマイケル・デル氏がCEOに復帰してから3ヶ月が経つ。 外部には未だにドラスティックな動きが見えてこない。 しかし、ビジネススピードを重視する米国IT企業のデルだから、潜行して着々と次なる施策が進んでいる可能性もある。 けれども、革命的だったが、コモディティ化して圧倒的な価格優位性は失ったデル・ダイレクトモデルが再び輝きを取り戻すのは、そう簡単とも思えない。 それに、会計処理問題でゴタゴタが続いているのも影響していそうだ。 

デルは「ダイレクトモデル」の成長限界を、ダイレクト(直販)の枠組みを超えてでも、新たなグローバルSCM構築、新興市場(BRIC’s)の地盤拡大、それと、「ノンダイレクト(間接)」販売(リテール)チャネルの獲得、でブレークスルーしようとしているようだ。  間接販売チャネル獲得のために大型M&A(合併&買収)があるかもしれない。

今後も、デルの次なる手を注目していきたい。

Ref1:HP、世界PCシェアトップを維持

Ref2:無償基本ソフト「リナックス」販売で連合・米オラクルなど

Ref3:[WSJ] HPとDell、IntelとAMD――PC業界の明暗を分けたのは?

Ref4:「デル、ダイレクトモデル失速の意味すること 」

Ref5:直販(ダイレクト)モデルの強みと弱み

Ref6:デルが小売強化へ、販売戦略を変更--米報道(追加5/17)

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2007年02月25日

「ハニーズ」:高回転SCMの女性向けカジュアル衣料企業

2月24日(土)の朝日新聞のbe on saturdayに女性向けカジュアル衣料の製造小売の「ハニーズ」が“手頃な旬の「カワイイ」をいわき(福島県いわき市)から”と題して、社長(江尻氏)インタビューを交えて紹介されています。

私には、変化の激しいファッションのカジュアル衣料業界にも素晴らしく高速回転のSCMを実現している企業がいるのだな、と興味深く読みました。

(要旨)

企画から発注まで5日、生産・輸送期間含めて店頭に商品が並ぶまで40日(通常の半分以下の高回転)。毎週発注の多頻度かつ少量多品種生産。

・高回転SCMを実現し、「今まさに着たい服が店頭に並ぶ」。 色柄、サイズで分けると同じ商品は1,2着の少量多品種生産。 1ヶ月前後で売り切り、値引き販売をほとんどしないので、低価格でも57.6%という業界トップクラスの粗利益率を達成。

・1品の平均単価は1.600円と低価格、全国に638店、06年に中国にも進出19店。 本社(いわき市)と全国638店をネットで結び、売れ筋商品やライバル店にあって自店にはないデザインなどの情報を収集。

・20人のデザイナーの他、パタンナー、CG専門の社員が、合計で約60人いて、全部自分たちで色や柄、素材を決め、発注書や仕様書も書く。

月曜に決まった企画テーマをもとに、デザイナーは毎週火曜、水曜に、東京・渋谷や大阪、名古屋に出掛け、定点観測し、木曜の企画会議で情報集約してデザインを決める。 金曜の朝には社長を交えた最終決定をし、即座に待ち構えていた中国の委託生産先の工場責任者に指示、工賃などを交渉し、発注をその場で完了させるというハイスピード。

・中国で本格生産を始めた01年から成長が加速。 01年当時、日本で生産すると製造原価は1.500円、ところが、中国生産では約600円。 これで平均価格を1.900円に下げることができた。(当時の平均価格は2.900円だった。)

・女性が戦力、社員の9割以上が女性。 女性が望む新鮮なファッションは、やはり若い女性の感性が必要。

<感想>

ハニーズの高回転のSCMを、比較対象が妥当ではないかもしれないが、パソコンのBTO&SCMと対比してみる。 

1)発注サイクル:Weekly発注はパソコンでは当たり前だし、パソコン業界では、デイリー発注まで行っている例も多い。 パソコンは販売店からの注文分を集計して翌週の発注量を見直していく注文生産方式(BTO)が主流。 ハニーズも直営店からの売れ筋情報を元にWeekly発注し、原則、売り切ってしまうから、実質的には注文生産(BTO)方式だ。

2)納入リードタイム:パソコンは海外(中国)から船便(SEA)なら、製造&輸送含めて平均4週間、販売店店頭に並ぶまで5週間程度だから、ほぼ同等スピードか。

3)新商品投入サイクル:パソコンでは3〜4ヶ月サイクル、ハニーズはWeeklyで頻繁。 ここが断然速い。 

4)ハニーズは直営店舗、パソコン業界はメーカーと販売店は別企業体。 ここが大きな違い。

5)企画開発発注:ハニーズは1人(あるいは1チーム)が全てをこなす。 パソコン業界は一般的に企画/開発/発注は分離・分業である。 ここが「Weekly新製品」ができる最大の武器か。 

6)マーケティング:ハニーズのカジュアル衣料は各種パターン化された型紙などに流行の感覚を加えた新パターンを作り、店頭の販売員に感触を確かめた後、本格量産に入るという。 パソコン業界でも新製品計画を事前に量販店に反応を確かめたり、テスト販売することもあるが、ハニーズは直営店の第一線の販売員の感覚を歪みなく常時吸い上げられる強みがある。また店長の中からセンスのある人をデザイナーに登用するという。

6)粗利益率:ハニーズの粗利益率は57.6%という高さには驚きだ。 パソコンメーカーは恐らく、この半分もないだろう。 これも、ハニーズは製販垂直統合している効果も大きいのだろう。

以上、規模、業態や商品特性が大きく異なるから、比較対象として無理を承知ですが、ハニーズのビジネスモデルは他の業界にも大きなヒントを与えてくれているのかもしれない。

一方で、ハニーズのリスクは、流行変化の激しいファッション業界で、強みであったデザイナーの女性社員がわずか4〜5歳でも歳をとると感性が合わなくなる恐れと、往々にして事業規模が拡大し兵站が伸びることと反比例して、オーバヘッドが大きくなり機動性が損なわれやすいこと、それと中国の人件費上昇・円安/元高、かもしれない。

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2007年02月16日

デル、ダイレクトモデル失速の意味すること

日経新聞2月2日朝刊で、『デル創業者、CEO復帰。直販モデルの修正必至。個人取り込み課題』と報じています。

デル(DELL)は1997年にIT技術を活かしてネット直販ビジネスを日本でいち早く開始し、この時に出現したのが、パソコンの第三の黒船と言える“デル・ダイレクトモデル”です。(ブログ記事「パソコンの第三の黒船」参照)

私は現役時代に、このデルの脅威に対抗すべく、デルのダイレクトモデルをお手本に、自社の間接販売(販売店販売)に「BTO&SCM」方式を導入するべくBTOプロジェクトを立ち上げるなど躍起になっていた。 私にはこのデルの失速は、パソコンのビジネスモデルが重要な転換期に来ているサインのような気がします。

前掲の日経新聞記事やデル関連のネット検索ニュースから、その背景は次のようです。

・デルの成長鈍化がはっきりしたのは、2006年から。増収率が1桁台に落ち、二・四半期続けて純利益が前年を下回った。 01年から守り続けていたパソコン世界シェア首位の座をHP(ヒューレットパッカード)に昨年後半から奪われた。

参考:2006年第4四半期の世界PC市場は好調HPが首位,Dellは苦戦

・経営建て直しのために、マイケル・デル会長が2年半ぶりにCEOに復帰。

参考:M・デル氏CEO復帰が意味するもの--デルは何を見誤ったのか? デル失速の要因として次のような「市場変化への対応遅れ」を指摘している。

同社は、回転の速いPC製造体制を完成させていたが、以下のような市場の変化への対応で明らかに不意を突かれた格好となった。

  • Y2K騒動から3年続いた法人のPC買い換え騒動が終息し、Microsoftの「Windows Vista」と各社社内アプリケーション環境の組み合わせに関する様子見の状況にあるなか、法人PC市場が鈍化を見せている。
  • 消費者は、つまらないPCと粗雑な顧客サービスに対して不満を募らせており、スタイリッシュで品格のある新しいPCを求めて小売店に殺到し始めている。
  • Advanced Micro Devices(AMD)がかなりのマーケットシェアをIntelから奪い、法人と個人の両方にとって信頼できるメーカーとしての地位を築き上げた。 (デルはIntel CPU使用に固執していた。)
  • 米国などの成熟した経済大国ではノートPCがかつてのデスクトップの座を奪いつつあり、年末までには小売店の売上の大半をこれが占めるようになる。 (Dellは自社ノートPCを社内で組み立てることにしたため、実際には競合各社よりコスト高になる状況が生まれていた。)

デルの強みであったダイレクトモデル(直販モデル)がその輝きを失いつつあるということだ。 その背景は何か?

かなり以前の私のブログ記事『間接販売と直接販売(直販モデル)』「直販モデルの強みと弱み」の分析を書きました。

デルモデルの強みのエッセンスは、直販であるが故の「価格の安さ」「BTO&SCM」だった。

パソコンはこの数年で価格が劇的に下がり、よりコモデティ化・家電商品化した。 ノートパソコンでさえエントリーモデルは今や6万円台から買える。(数年前は15〜20万円だった。)  ここまで低価格になると、BTOを活用し要らない機能は外すなどカスタマイズして、安く買うというネット直販の強みが色褪せてくる。

パソコンの高性能化でエントリーモデルでも、一般の個人ユーザには必要十分な機能・性能となった。 最新OSのWindowsビスタ搭載でメモリ1GBも搭載しているパソコンが5〜6万円から買えるのだから、BTOでカスタマイズするメリットも薄れてしまった。 

低価格化→コモデティ化することは、家電量販店間の価格競争も相まって、間接販売チャネルがより強みを発揮することになる。 価格もそれほど差がないなら、デルのWebサイトより、ヨドバシカメラ、ヤマダ、コジマなど家電量販店で、色々なメーカーのパソコンを触って見比べて、店員の意見を聞いて買う、かつ、ポイントも付く方がお買い得感を感じる、という人が多くなる。

デルのもう一つの強みは、BTO/SCM(注文生産による製品在庫レス化)とCRM(お客とダイレクトにつながることにより売れ筋モデルの傾向や顧客の好みの変化などをきめ細かく把握ができる)だった。

デルを追い抜いたHPや国内ではNEC、富士通などは、元々間接販売主体のメーカーだったが、デルを研究し尽くして、間接販売に合った効率的なBTO&SCMを確立したこと。また、ネット直販サイトも立ち上げ、店頭販売とネット販売を併用して、ネットユーザーの取り込みも図り、デルとの価格差が縮まったこともあり、デルの圧倒的優位が崩れつつある。

デルが10年前にダイレクトモデルで価格破壊を起こし、その後の年々のパソコンの大幅な低価格化/コモディティ化が、ネット直販と間接販売(店頭販売)との価格差を大幅に縮めた。 その結果、個人向けは無店舗でネット直販主体のデル、元々、企業向けに強くリアルの営業部隊は企業向けに集中していたデルにとって、逆風となってきたのは皮肉である。 強みが一転して弱みに変わりつつある。

デルのCEOに復帰したマイケル・デル氏はどのような起死回生策を打ち出すのか興味深い。 しかし、コモデティ化してしまった商品では、結局、価格勝負から抜け出せないでシャア争いの消耗戦となってしまう例が多い。 デル・モデルの輝きを取り戻すのは容易ではなさそうである。

パソコン5万円時代という、一段下の価格レンジでも、ネット直販とBTO(注文生産)&SCM+アルファによる新たな価格優位性を取り戻せるかがKeyになりそうだ。 それができないならば、間接販売チャネルを取り込む業界再編しか残されていないかもしれない。

圧倒的な強さを誇ったデル・ダイレクトのビジネスモデル(ref3参照)も約10年で大きな壁にぶち当たった。 そう言えば、最近は「BTO」という言葉もあまり見聞きしなくなり、デルのWebサイトでも「BTO」の文字が消えてしまった。  時代の変化の速さを感じます。

ref1:『Vista』は Dell を救うか?

ref2:お手本はアップルストア?--デルが直営小売店舗を展開へ

ref3:米国PC産業の新潮流:デル社ダイレクトモデルの衝撃 (by梅田望夫氏)→デルダイレクトモデルが注目された頃の1998年のレポート

ref4:直販(ダイレクト)モデルの強みと弱み

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2005年07月19日

自動車産業とBTO(1)

BTO&SCM
自動車産業とBTO(1)
 

パソコン産業ではデル(Dell)のダイレクトモデル、即ち、BTOによるインターネット直販モデルが大成功を収めて、90年代後半からのインターネット革命下のパソコン業界を変革させた新しいビジネス・モデルの象徴となっています。

 

 それでは、他の産業ではBTOやダイレクトモデルの浸透や影響度はどうなのか、とりわけ、自動車産業ではBTOはどの程度広まっているのか興味が湧きました。

 

少し調べて見ると、結論から先に述べますと、2001年の米国の調査会社米フォレスターのレポートでは、「自動車販売にもBTO2010年には全体の20%に、自動車販売では,今後4年間で顧客が発注時に仕様を指定できるビルト・ツー・オーダー(built-to-orderBTO)方式が拡大する」との予測がされ、日本でも自動車のBTO販売が広がるとの見方でしたが、2005年の現時点では自動車販売のBTOはごく限定的で、自動車業界へ変革を投じる一石になっているとはとても言えないようです。

 

 国内ではマツダがロードスターの全販売台数の1割程度をBTO方式で販売しているとの情報で、適用車種もRX8なども拡大して唯一頑張っているようですが、これもスポーツタイプや高級車の機種に限定したBTO販売で、購買意思を示したユーザーに指定のマツダディーラーがコンタクトして最終売買契約をする、BTOによる価格メリットもわずかで、まだまだ、様子見の限定の域を出ない印象です。 マツダ以外のインタネット技術活用の取り組みは、トヨタのや総合EコマースサイトのGAZOOhttp://gazoo.com)やホンダのCyber Mallhttp://www.honda.co.jp/auto/)等 ディーラーに見込み客を紹介する顧客紹介システムでのインターネット活用であり従来の延長線に過ぎません。

 

最近は、新車販売よりも、大手自動車メーカーとの直接の縛りが緩い、中古車販売(中古車在庫検索・見積モデル、中古車買取モデル)で新興の独立系販売業者によるインターネット活用のビジネスモデルが盛んなようです。

(参考資料:

     自動車の Build To Order ネット販売革命 

http://www2u.biglobe.ne.jp/~hakuzou/dealer.htm

『インターネット自動車販売の変遷とBTO時代のディーラー機能』by自動車ニュース&コラム (http://blog.mag2.com/m/log/0000000772/106197721?page=1

 

BTO&ダイレクトモデルの本質は1)販売・流通面では「中抜き」でユーザーの欲する仕様で「安く」、「早く」提供すること、 2)生産・調達面では「注文を受けたものだけを造る」ことにより無駄な製品在庫や部材在庫を極小化することによる低コスト経営、

3)エンドユーザーとの直接の関係性構築によるフィードバック効果によるビジネスの維持拡大 ‐‐‐であり、原理的にはどの業種にもあてはまる内容のはずです。

 

自動車で2)の生産・調達面でのBTOがどの程度浸透しているのか良く承知していませんが、1)、3)の販売流通・ユーザーの下流が伴わないBTOであれば、あくまで生産工場での生産革新の範囲であり、サプライチェーン全体のSCM的な効果も限定的と思えます。

自動車業界ではBTO&ダイレクトモデルが鳴かず飛ばずであるのは何故か?

 

前回の「かんばんとBTO(1)」の記事にも書いたパソコンと自動車の商品特性の違い(オープンモジュールアーキテクチャvsクローズドアーキテクチャー)や、メーカー自前型の販売チャネルの特徴によるものか、自動車ではデルのようなしがらみのない革新メーカーが現れる余地がないのか、など興味深いところです。

 

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2005年07月15日

「かんばん」と「BTO」の概念比較(2)

BTO&SCM
「かんばん」と「BTO」の概念比較(2)
 

「かんばん」は販売所要がある程度平準化されたビジネスモデルを前提に効果を発揮する方式であると考えられます。

 自動車は前掲のパソコンとの比較からも判るように、下流の販売チャネルは自社系列の全国販売網を保有している関係から、自動車メーカー主導型であり、上流の部品ベンダーも垂直的(系列的)であり、平準化生産の実行がやり易いと見られる。

 

「かんばん」も「BTO」も、いずれも下流(市場/販売店)からのプル(PULL)の考え方だが、「かんばん」は平準化生産、つまり計画生産(BTP:Build To Planの枠組みのなかでサプライの流れが平準化されていること、消費されたものだけ「かんばん」を上流(生産・部材調達)まで引き継ぐことにより、自律的なスムーズな流れを作れる(後補充)ことにより、無駄を排除する方式が有効に機能する。

 

下流の変動に対しては、下流に近いところで製品在庫バッファにより吸収し、補充LTの長さ相当+緩やかな変動率分の製品在庫を持つのが基本である。

 

 一方,[BTO]は「注文生産」で、工場の中には製品在庫は持たず、部材、ユニットで持ち、注文確定により、注文を受けた製品を注文数だけ製品組み立てを行い,実働3〜5日で納入する方式である。

エンドユーザーの注文をDAILYHourlyでハンドリングして、最短のリードタイム(LT)で生産・納入することを追求し,それによって流通在庫やメーカー在庫である中間在庫(工場製品在庫など)を不要化またはミニマム化することが最大の眼目である。

 このため、BTOは下流の所要変動が大きく、日々の生産数量の変動も大きくなるため平準化生産が難しいパソコンのような業種にも適した方式と言える。

また、注文後に製品組み立てるため、CTOConfigure To Order:多様なカスタマイズ注文)が可能であるのが大きな特長である。

 

 従って、間接販売のパソコンビジネスの大きな課題である流通在庫の削減(在庫補填ロスの削減)には、プッシュ型の計画生産(BTP)比率を減らし、プル型のBTO比率を増大することが在庫削減や棚卸資産回転率の増加に大きな効果を発揮する。

 

特に個人向けパソコンの場合は、大きな流通在庫を抱えてビジネスをする量販販売店の商慣習や在庫補填の鮮度ロス費用の発生が大きな課題であり、流通在庫に加えて完成品の工場在庫を市場変動バッファにする(増やす)のは得策ではない。

 

 また、BTO化によりデイリー注文や週内多頻度注文へ移行することとなるため上流の部材調達のJIT化が有効に働き、その時に必要な部材のみ引き付けて購入することにより、部材在庫のミニマム化にも大きく寄与する。

その代わり、エンドユーザーのBTO注文に対しては100%の納入コミットを要求される。(生産遅れ、納入遅延は許されない)

 

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2005年07月14日

「かんばん」と「BTO」の概念比較(1)

BTO&SCM

「かんばん」と「BTO」の概念比較(1)

 

トヨタ生産方式のコア概念である「かんばん」方式とDellのダイレクト方式に象徴されパソコン業界で多く導入されている「BTO」との比較、相違について考えてみます。

 

「かんばん」方式はトヨタ生産方式JITJust In Time方式として日本の製造業の強さや生産革新の象徴的なキーワードであり、生産革新活動において、ある種のブランド的な意味を持つに至っています。

トヨタ出身の多くのOBが自動車業界以外の多くの企業の生産革新活動のコンサルタントや指導講師として迎えられて、「かんばん」方式をコア概念とした工場の生産革新を展開している事例が、マスコミなどでも取り上げられています。

 

「かんばん」方式は動きの激しいパソコン業界で完全にマッチするのだろうか?−−−が問題提起です。

 

まず、自動車業界とパソコン業界のビジネスモデルの違いを簡単に見ておきます。

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2005年07月13日

第三の黒船:デル・ダイレクトモデル

BTO&SCM
第三の黒船:デル・ダイレクトモデル
 

パソコンの歴史で第一の黒船が92年の“コンパック・ショック”であり、第二の黒船が95年の“Windows95”と言えると思います。

 この95年を境にWINTELに象徴されるハードとソフトのアーキテクチャーのデファクト・スタンダード化により、パソコンのオープン化とコモディティー化が一気に進み、パソコンメーカー間の基本的なアーキテクチャーの差はなくなっていきました。

 

これはとりもなおさず、パソコン業界にそれまでのCPU速度やグラフ性能など「機能・性能」による差別化競争から、「低価格化」と「個々のユーザー・ニーズを満たす価値の提供」競争へとビジネスモデルの転換を迫ることになりました。

 

この時に出現したのが、パソコンの第三の黒船と言える“デル・ダイレクトモデル”です。

 

デルは93年に日本法人を設立し、直販営業部隊が主に大企業向けに直販PCの販売を開始し、当初は大きな注目はされませんでしたが、徐々に日本市場でも深く静かにシャアを伸ばしていました。 さらに第二の黒船のWindows95によるパソコンのオープン化とインターネット時代の幕開けの時流をうまく捉まえて、デルは97年にIT技術を活かしてWeb直販ビジネスを日本でいち早く開始しました。

 

95〜96年当時の日本マーケットは間接販売、即ち、販売店販売が主流でしたが、デル・ダイレクトモデルは世界中でパソコン業界に直販モデルという新たなビジネスモデル・ショックを与え、間接販売と直接販売の戦争が起きるることになりました。

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2005年06月30日

製品開発論の限界?

製品開発マネジメント
製品開発論の限界?
 

次のホームページ:技術革新型企業創生プロジェクトCorporate Innovation System Renaissance Project、略称ルネッサンスプロジェクト)に製品開発の論文として興味のあるディスカッションペーパーが掲載されています。

 

そのなかの、「新製品開発における不確実性低減のための開発前段階 (フロントエンド)におけるマネジメントの効果に関する研究 (未定稿) 長平 彰夫氏 、高橋 修氏 20053月)(ダウンロード可能:長文です)−−−を読んだ印象です。

 

要旨は「新製品開発における市場および技術の不確実性を低減するためにFFEFuzzy Front End:開発のはっきりしないフロントエンド)段階でのマネジメントが、成功する新製品開発に有効ではないかということを明らかにすることを目的に、大規模アンケート調査およびヒアリング調査を実施し、統計学的検証から明らかにした」という労作です。

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2005年06月22日

最後のDOSマシン=最安値PC−9801

伝説の低価格機98FELLOW(18)

最後のDOSマシン=最安値PC−9801

黒船コンパック」対抗の初代98FELLOWを超速開発し標準価格21.8万円で93年1月にリリース後、直ちに同じ年の11月に第2世代98FELLOW(PC−9801BX2)をマザーボードの海外生産などのコスト低減の努力をして17.8万円と値下げしました。 第3世代98FELLOW

さらに、インパクトのある価格でDOS/V勢との競合を勝ち抜くために、新たに標準価格で遂に10万円を切る破格値9.8万(店頭実売価格では7万円強)の第3世代98FELLOW(PC−9801BX3)の計画が浮上しました。

 

この第3世代機が「低価格宣言。98FELLOW」の謳い文句で95年1月に発売されました。(添付カタログ参照)

 

これが結果的に、PC98シリーズの中で、標準価格が10万円を切ったモデルはこれが最初(で最後)であり、また、数多あるPC−9801−XXシリーズの歴史の中で「9801」型番を付した、「DOSマシンの最後の機種」となりました。

つまり、一時代を画したPC−9801型番シリーズの「トリ」を務めた98FELLOWが皮肉にもPC98シリーズ中の最安値のパソコンとなりました。

 

第3世代98FELLOWの開発の顛末の前に、93年〜95年の主な出来事とパソコン関連のトピックスを参考にピックアップしておきます。

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2005年06月16日

日本語の壁(2):パソコンと自動車

閑話休題(6)
日本語の壁(2):パソコンと自動車
 

パソコンと自動車とのビジネス特性の比較に関連して、「日本語の壁」の影響度の差が気になりました。

日本のパソコン企業で世界市場で大きなシェアを獲り成功している企業はどこもありません。 日本のパソコン企業も、結構早い時期の1980年代後半から北米市場などを始め世界市場に進出しましたが、一時的にはある程度の市場を取りましたが、結果的には撤退や縮小しをて失敗に終わっています。

 

一方で、日本の自動車産業は、先日のトヨタの「1兆円利益」報道に象徴されるように、ホンダ、日産も含めて、世界市場でかなりの成功を収めています。

 

この差はどうしてなのか?  日本の自動車産業は「トヨタのカンバン方式」が、その強さの理由として、よく喧伝されますが、「カンバン方式」による生産力の強さだけで片付けるのはいかにも単純であり、それだけではない「自動車の商品特性」など、色々な背景があると思います。

 

日本のパソコン企業が何故、世界規模ではシェアを獲れなかったかの理由を挙げ、自動車の商品特性との比較から考えて見ました。

 

1)パソコンは言語を処理するツールであること

‘本国内では、「日本語処理の壁」に守られて国民機と言われたPC98アーキテクチャーは海外ベンダーの侵入を阻んだ。(参考:パソコンの黒船) (Windowsの出現によりこの壁ももろくも崩れてしまったのはご存知のとおりです。)

一方で、日本企業が世界市場に出て行くには「多言語の壁が  大きかった。

日本語文化圏とは異なる海外市場での“言語処理ツールである”パソコンのビジネス競争にはどうしても言語や文化のハンディがつきまとうこと。

 

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2005年06月08日

CRMとサポートセンター

BTO&SCM
CRMとサポートセンター
 

実は今、田舎に短期間の滞在中ですが、田舎でネット接続ができないトラブルに会い焦ってしまった顛末をご紹介します。

 

東京の我が家ではADSLブロードバンドの無線接続でインターネットに接続をしていますが、田舎に旅行するに当たり、田舎の家ではブロードバンド環境がなく電話回線のダイヤル接続のために、出発前に事前に東京で電話回線のダイヤル接続が上手くいくことを確認をしてから出かけました。

 

田舎に着く前に途中下車で京都に立ち寄りました。 京都の旅館で、さてブログに投稿しようとダイヤル・アップ接続を試みましたが、何回やってもビジー音となりうまく行きません。 いやな予感がしたまま、旅館の交換設備の問題かもしれないと勝手に決めつけて、その日は断念して枕に就きました。

 

翌日の夜に田舎に到着して、よしとばかりに再度ダイヤル・アップ接続をトライしましたが、いやな予感が当たりうまくいきません。 モデムの設定に「トーン」か「ダイヤル」かがありこれが電話回線のタイプと合っていないとうまく行かないので切り替えてやって見ましたが接続できません。 

確かにピーヒャララとダイヤル音はしているが途中でビジーになってしまいます。

これは田舎に滞在中はインターネットが使えないことになるのか?と焦りを覚えたまま睡魔に襲われて眠ってしまいました。 

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2005年06月06日

コンビニ弁当とパソコン

BTO&SCM
コンビニ弁当とパソコン
 

生鮮食品のコンビニのお弁当とパソコンは「生もの」という点で似ているところがあります。 

コンビニで売っている色々な種類のお弁当は前日の売れ行き実績や当日の天気予報や地域イベントなどの有無など各種の分析データーを基に、その日の発注数が決められて、納入リードタイムがわずか3時間程度と脅威のスピードで各コンビニ店舗に届けられています。

 

また、販売可能な時間限度「販売時間の鮮度」も決められていて、その日の売れ残り(不良在庫)は惜しげもなく廃棄処分にされてしまいます。

 

ということは、ある廃棄比率を想定したお弁当の値段がつけられている訳で、そのお弁当の売れ行きが悪ければ、予定廃棄率を上回ってしまい、大きく利益を圧迫してしまうこととなります。

 

 如何に弁当の売れ行き予想(需要予測)を当てるかが生命線となってきます。 従って、納入リードタイムを時間サイクルに短縮して、1日に2回、3回と分割発注し数時間で注文した数のお弁当が届くという、見込み生産でありながら素晴らしくハイスピードなHourlyBTO(注文生産方式)、SCMの仕組み実現して不良在庫のミニマム化を追及しています。

 

一方、パソコンはお弁当とは物も値段も大きく異なる商品ですが、鮮度が決め手の商品で売れ残り(不良在庫)がビジネスに大きなインパクトを与える点はまったく同じです。

 

違いは「販売時間の鮮度」の時間軸がHourlyかWeeklyの違いだけで、如何に需要予測を当てるかの基本的な考え方は同様です。

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間接販売と直接販売(直販モデル)

BTO&SCM

間接販売と直接販売(ネット直販)

 

黒船パソコン上陸が話題になった92〜93年頃は、日本におけるパソコン販売は個人向けには家電量販店やパソコン専門店での店頭販売が主流、企業向けには企業向けの卸系販売会社やシステム販社経由の販売が主流で、つまり流通チャネルを通した「間接販売」が主流でした。

 

「パソコンのネット直販」という新たなビジネスモデルは、その当時はまだまだインターネットも一般に普及をしていない時代で「ネットで直接販売する」ビジネスモデルについて、今日のように個人向けにも幅広く一般化するとは予想されていませんでした。

 

パソコンの世界で直接販売(直販モデル)が始まったのは93年1月にDELLが日本法人を設立してDELLダイレクトモデルと称して企業向けを中心に販売を開始した時でした。

これは最初は静かなスタートでしたが後の90年代後半には大きな市場改革(ネット直販&BTOSCMCRM)を引き起こした「第2のパソコンの黒船」とでもいうべき大変革の始まりでした。

 

では、パソコンのネット直販のビジネスモデルの最大の強みは間接販売に比べて安い価格で勝負できる点ですが、その「からくり」や「強みと弱み」はどのようなところにあるのでしょうか?

 

<直販モデルの強み>

1)販売店など下流の流通チャネルを通さないため、販売店の販売手数料やサポート費用などの中間マージンが掛からないため、その分、販売価格を低く設定できて価格優位性を出すことができる。

2)直販のため、販売店販売と比べて流通チャネルには基本的に製品在庫は存在しえない。従って売れ残りなどの流通チャネル側の不良性在庫資産を原理的にはゼロにできる。

3)ネット直販がメインであり、BTO(Build To Order:注文生産方式)としごく相性が良い。つまり、その日に注文を受けたモデルを注文台数だけ生産して売り切ることができ、原理的には工場側でも製品在庫をゼロとすることができる。

(但し、製品を作るための部品レベルでのある程度の在庫は必要)

4)「直販」の意味は、自らが中間チャネルを介在せずにエンドユーザーに売るということであり、売れ筋モデルの傾向や顧客の好みの変化などをきめ細かくダイレクトに把握ができる。従って市場分析を歪みがない形で迅速に実施できる。 それを販売戦略や新製品企画に的確に活かせる優位性がある。

 

このように見ると直販のビジネスモデルは良いことずくめのようですが、直販モデルは直販であるが故の弱み・短所も存在します。

 

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2005年05月21日

Bottle-Neck(びんの首)

伝説の低価格機:98FELLOW(9)

Bottle-Neck(びんの首)

 

ボトルネック(Bottle-Neck)を辞書で引くと[びんの首、狭い通路、仕事の進行などで障害となるもの、隘路]とあります。 また、IT情報用語辞典では、「生産工程の中にはボトルネックとなる工程があり、それが全体のスループット(生産量)を決定する。最適生産のためには工程全体のスケジュールをボトルネック工程の能力に合わせる必要があり、生産性向上のためにはボトルネック工程を重点的に改善すべきだ」という生産管理・改善の制約理論(TOC)のキーワードとなっています。

 開発のプロセスでもボトルネック工程があり、他の設計プロセスと並行できず期間が長いため、全体の開発リードタイムの最短長を決定してしまう要素があります。

 

パソコン開発の場合のボトルネック工程の大物は.泪供璽棔璽匹プリント基板(回路配線基板)と■丕奪院璽垢旅渋と超發肇侫蹈鵐肇泪好などモールドの金型の設計製造リードタイムです。 ,離泪供璽棔璽匹蓮∪澤廚烹吋月、製造に2W、△龍盞燭1TRY品が1.5ヶ月、そこから修正を織り込んだ2次Try品を経て、最終金型の3次品まで1ヶ月、合わせて2.5ヶ月が標準的なリードタイムでした。

これでは、98FELLOWの目標開発期間:2ヵ月には全く当てはめることはできません。 

このボトルネック設計工程も何としてでも短縮させるしかありません。

編み出した手は次のようなものでした。

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2005年05月19日

製品開発力とは?

製品開発力とは?

 

日本企業の製品開発力についての示唆的な講演論文を読みましたので紹介します。

藤本隆弘氏の「日本企業の製品開発力」(組織能力とアーキテクチャー)です。

要旨は次のとおりです。

 

    日本の企業の大きな問題は、「現場は強いけれども会社は儲からない」という企業が多い。、お客さんの評価としての「表の競争力」と「裏の競争力」は別物、裏の競争力は海外に比べ結構強い。つまり生産性、生産リードタイム、開発リードタイム、製造品質、歩留まりなど、現場の実力は強い。

 

    アメリカの企業はどちらかというと「強い本社、弱い工場」、日本の企業は「強い工場、弱い本社」

 

    どういう製品を造っている会社が強いのかを見極める上では、アーキテクチャ(製品をどのような部品とインターフェースで実現するかの設計思想)に注目すべき

 


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