2008年07月21日
ソニー、「受注生産方式パソコンを世界展開」に意外な驚き
久しく見なかった「パソコンの受注生産」、「CTO」という言葉が、7月5日の日経新聞朝刊13面に載っていました。
ソニーが「受注生産方式のパソコンの販売を世界で展開する」という記事に興味をそそられました。
(記事の要旨)
・受注生産方式のパソコン販売を従来は日本と米国だけで提供していたが、中国と南米で始めた。 今秋には欧州でも開始する。
・パソコン事業で年間売上高1兆円という中期目標の達成に向け、まず2008年度の世界全体の総販売台数を前年度比3割増の680万台に引き上げる。
・受注生産方式の事業を拡大するほか、新興国市場の開拓も強化する。ブラジルでは汎用機の委託生産を進め、ロシアでは富裕層向けの販路を築き、UAEのドバイの現地法人を強化する。
・ソニーのパソコン「バイオ」の07年度の販売台数(世界)は前年度比3割増の520万台。 これは世界シェア2%にとどまる。 ソニーはパソコンの売上高を10年度までに1兆円に引き上げる計画を打ち出している。 日米で好調なオーダーメイド方式(CTO)を核に、パソコン分野でもブランドイメージを高め、HP(ヒューレットパッカード)などの米国や台湾メーカーを追い上げる。
以上が記事の内容ですが、私が関心をもったのは、「日米で好調なオーダーメイド方式(CTO)を核に」ということと、「日本のパソコン市場では、シェアが6位(6.7%)、出荷台数も87万台(2007年度)に過ぎないソニーが、世界シェアも2%にとどまるソニーが、パソコン事業を中核事業の1つとして位置づけ1兆円事業を目指すという大きな旗をぶち上げた」ことです。
しかも、最近、とんと見聞きしなくなった「注文生産方式(BTO)、オーダーメイド方式(CTO)」を核にして1兆円事業を目指すというのは、大変意外であり新鮮です。
ソニーは「ソニースタイル」で店舗でもネットでもオーダーメイド(CTO)ができるVAIOブランドのパソコンを展開していますが、日本では価格も高く、さほど成功しているようには見えません。 が、海外では成功しているのでしょうか、また、オーダーメイド(CTO)方式が新興国市場でそれほどの原動力になりうるのか?という率直な疑問も感じます。
というのは、世界市場では、5万円前後の低価格の超小型パソコンが大ヒットしており、新興国市場は低価格パソコンが主戦場であろうし、世界では既にHP、DELLなど世界シェアトップメーカーが新興国でも販売を伸ばしています。 ソニーのブランド力を持ってしてもCTOパソコンはどれだけの力を発揮するのだろうか? そう簡単ではないだろう。
しかし、世界のパソコン市場でわずか2%のシェアに過ぎないソニーが、撤退するのではなく、日本市場はさておき、世界市場で、とりわけ新興国市場開拓で、まだ1兆円ビジネスに伸ばせるチャンスがあると判断していること、中期計画で内外に旗幟鮮明にし積極投資もするとしたことは大いに注目に値します。
それに引き替え、国内パソコンシェア1位、2位常連のNEC、富士通は相変わらず国内ではまだ存在感がありますが、海外ではシェアは皆無に近く内弁慶の状態が長年続いています。 世界的なブランド力があるソニーとは違って海外に打って出るのは容易ではなく、NEC、富士通は過去に海外進出に失敗・撤退しており、海外市場への再チャレンジはやりたくてもできないのかもしれません。
しかし、世界市場の1割に満たない日本市場で、HPやDELL、エイサーなど海外PCメーカーとの過当競争にされされていては、内弁慶の地位も危ぶまれるのではないでしょうか。 そのような意味でも、ソニーの今回の世界市場を視野にしてパソコンビジネスを立て直そうという中期計画は注目されます。
<参考>・2007年のパソコン世界出荷台数は前年比13.4%増,首位はHP
・2007年度のパソコン国内出荷,日本HPやデルがシェアを拡大
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