2007年02月07日
景気が良いのになぜ円安なの?(続き)
前回(1月29日が)、「景気良いのになぜ円安なの?」という疑問に対して、自分なりに調べた内容を投稿した。
その後、2月4日の日経新聞朝刊に、「円安要因、金利+α(アジア成長/企業の海外投資)」という、円安の背景と問題点にピッタリと答えてくれる記事が載っていたので、そのポイントをピックアップしておきます。
<要旨>
・円安が止まらない。 主要通貨に対する円の価値を示す実質実効レート(1973年3月を100とする)は1月時点で97.7と、85年のプラザ合意以来、21年ぶりに100を割り込んだ。
・円安の主因は日本と海外の金利差。 さらに新興市場国(BRICS、東南アジア、東欧など)に対する高成長期待(→対外投資の大幅拡大)、グローバル化に伴う企業行動の変化(→企業の直接投資に伴う海外への資金流出、日本企業の外資買収(*1))などの+αの要因が絡んでいる。 (*1)東芝の米ウエスティングハウス、日本板硝子の英ピルキントン買収など。
・上記より、仮に日銀の利上げで海外との金利差が縮小しても、急激な円高には転じにくい構造になっている。
・投機マネーが円安主導:ヘッジファンドなどの投機筋が、超低金利の円を借り、その円を売って他の高金利の通貨で利ざやを狙って運用する「円借り取引(円キャリートレード)」が円安誘導。 投機筋の円の売越し額は2兆円を超え、過去最大規模。
・この投機マネーが、実際の相場材料以上に一方向に売買を傾けやすい。 例えば、購買力平価では、昨年12月時点で、1ドル=110円台前半だが、直近の円相場は121円まで、10円余り円安に振れている(オーバーシュートしている)計算になる。
・低金利と円安は、ここしばらくは企業にとって心地よい。 問題は継続的な円安で日本の値打ちが随分と下がったことである。 経済規模でみた日米の格差は2倍→3倍に開き、日本の1割強だった中国は6割とひたひたと迫りくる。 85年のプラザ合意後、強い円は米国のロックフェラーセンターやコロンビアピクチャーズを買収したが、因果はめぐる。 中国資本が名だたる日本企業を買収する日は遠くはあるまい。
・低金利と円安の追い風を日本経済の本格的な上げ潮につなげられなければ、世界の中の日本という存在に長い影を落とすことになる。
Ref:円安が示す課題