2006年01月09日

ネット「せどり」は面白いか?

団塊世代のIT活用ライフ(1)

ネット「せどり」は面白いか?

「せどり」、「せどらー」という言葉を知っていますか?  私は迂闊にも昨年12月8日の夕方のNHKの首都圏ネットで取り上げられたのを何気なく見るまで、この言葉を知りませんでした。

広辞苑によれば「せどり」→「競取」「糴取」と書いて「同業者の中間に立ち、注文品などを尋ね出し、売買の取次ぎをして口銭を取ること。また、その人」とあります。

今、流行りだしている「ネット・せどり」とは、簡単に言うと「古本を安く買って、インターネットで高く売る」というビジネスモデルです。 この「せどり」で商いをしている人が「せどらー」。
もっと具体的に言えば、「BOOK OFF」や町の古本屋で専門書、ノウハウ本、稀少本やCD、DVDなどを安く(例えば100円で)購入して、「アマゾン・マーケットプレイス」、や「ヤフー・オークション」で高く売ることで利ざやを稼ぐネット活用ビジネスで、月10万円〜20万円も稼いでいる人もいて、知る人ぞ知るで結構広まっているらしい。

WEBで検索すると、なるほど沢山ヒットしました。 なんと人気Blog Rankingのオークションの部では、この「せどり」、「せどらー」のBlogで一杯ではないですか!?
私も専門書や仕事関連の本、雑誌の始末に困っていてゴミで出すのも嫌だし、BOOK OFFや近くの古本屋にタダ同然でも引き取ってもらうしかないかな?と思っていた矢先だったので、なるほどと非常に興味が湧きました。

確かに、Amazonでは、新品本とマーケットプレイス本があって、マーケットプレイスでは中古(ユーズド)本が半値以下で買えます。 私も随分前からAmazonのファンで買う方では時々利用していて、マーケット・プレイスでも中古本を買ったことがあります。  しかし、売る方では今までオークションは必要度があまりなく無関心でしたが、このオークションやマーケットプレイスを活用して、自分の手持ち本をネットで売りに出す人だけではなく、「せどり」で大量に仕入れてネットで売ることを副業や専業にしている個人のネット古本屋さんが、これほどに広がっているとは知りませんでした。
「せどらー」をやっている方は比較的若い人や主婦の方が多いようです。 このようなネット活用に早くから馴染んでいて週末起業など副業の関心度が高く、時間的な余裕もありフットワークも良いからでしょうか。

さて、興味は私のような団塊世代やシニア世代にとっても「ネット・せどらー」はネクスト・ライフとして取り組む面白いテーマになり得るか?ということです。  私なりに少し考えて見ました。

まず、ネット古本屋としての素質面やイメージ面からはどうか? 

我々団塊世代は何と言っても企業や社会で35年以上も培った経験、専門分野の知識は一応、豊富である。 結構、本や音楽/映画なども好きな人が多い。 また、[ネット古本屋「団塊エンジ堂(仮称)」の店主]とはなんとも響きが良く、サラリーマンでは為し得なかった一国一城の主でもあり憧れではないか!  それに、自己の専門分野や得意分野ではそれなりに目利きができる(はずである)。

では、金銭面や実践面からはどうか?

定年後に生きがいや張りあいのある生活をおくることは重要テーマ。 一方、リタイヤ後の収入は年金の目減りが既定のものとなっており、月10万程度の安定収入があれば言うことはない。 しかし収入の多寡よりも張りあいがあり楽しく、世の中と何らかのつながりを持った生活をおくりたいというのが一般的な団塊世代の思いではなかろうか。 時間的には言うまでもなくリタイヤ後は自由な時間がたっぷりとある。

さて、ネット古本屋の実践面を知るために、北尾トロ著「ぼくはオンライン古本屋のおやじさん」という本を、まさにAmazonのマーケット・プレイスで買って読んでみました。 

この著者はネット古本屋が出現した初期の頃の1999年10月にオンライン古本屋杉並北尾堂を立ち上げた40歳代の方。「ある日、いっぱいになっった本棚を見て古本屋になろうと思った」とあり、根っからの本好きでミニコミ誌などのライターの方です。 パソコンやホームページの知識は殆どなかったが、独学でホームページを立ち上げてしまった。 廃本を中心の品揃えで試行錯誤しながらアクセス分析し、来店率や購買率を上げるためにホームページのブラッシュアップをした経緯や出会った仲間達との楽しい付き合いの様子などが生き生きと伝わってきます。

私などもそういう生き方もいいなと興味をそそられました。 今はネットショップの立ち上げも随分と簡単にでき、無料のツールもあり使い勝手も良くなっているから、我々団塊世代でもネット・ショップの立ち上げは比較的簡単にできそうです。 

しかし、古本の仕入れ行脚や日々の受注/配送管理など結構な時間と労力が必要な割には、稼ぎは毎月6万円〜12万円とそれほどでもなく波もあり、如何に売れる商材を仕入れるか、固定客を集められるかに懸かっており、現実はそれほど実入りの良い甘い商売でもないことも判ってきました。

一方、自前のオンライン古本屋を持たずに「Amazonマーケットプレイスなどを売り場としているネット・せどらー」の場合はどうか?

前掲の人気Blog Rankingのオークションの部の上位ブログをざっと眺めて見ると、サラリーマンの副業、妻の副業、ニート、本と雑貨も扱う旅行好きの女性、専業で8000点以上も出品している30代男性の方など様々です。

ラフな推測では、よく頑張っている優秀なせどらーさんで月に250点程度を販売して売上37万円(単価約1500円)、仕入れ代と経費を引いた利益率が50%として利益18万円程度という感じでしょうか。

更に、平均的な実態を把握するために、Amazonマーケットプレイス徹底活用の本の購入者のカスタマーレビューが参考になりました。 実際にネットせどらーを実践した方のコメントが何点か掲載されており、参考になりそうな投稿を抜粋します。

{投稿1: 一ヶ月施行してみて感じた事を素直に書いていきます。
1.ブックオフの100円コーナーには、殆ど500円を超えて売れる商品は無い。あってもおおよそ100冊に1冊程度。ホントたまにしか利益を出す商品は無い。
2.アマゾンの手数料は15%も取られる。1000円の物を見つけても粗利益は650円程度。ほぼ4割は経費になる(これでもいい商品)
3.東京など、ブックオフが大量にある所でないと良い本は見つからない。    売上20万円で考えてみると、1000円の利益を出す本を200冊売らなければならない。200冊ですよ。毎日7冊程度を2日以内に発送するのは車が無いときついし、購入するのだって車が無いと結構辛い。で、ガソリン代もかさむし。 結局、本当に本が好きで、本を熟知している人でないと結構難しいのですね。恐らく、一万円稼ぐのにも結構苦労します。(ちなみに、私は5000円程度でしたね。)いわば「ザ、内職」です。これが現状です。}

{投稿2:月10万円稼ごうと思ったら大変ですよ! 正直言ってこのやり方は建前だけ!甘いです!! 例えブックオフがお隣にあっても手間隙がかかり在庫が増え大変ですよ。 高く売れる本を探す→運良くあれば仕入れて売るこのやり方を宝くじ商法といいます。何千冊とある本の中から見つけ出せるでしょうか?}

という分析を踏まえて、「団塊世代のビジネスとしてネット・せどりは面白いか?」の設問への私なりの結論は、

1.本が何より好き(好きこそ物の上手なれ)&意志が強く体力が続く(継続は力なり)の2つの必要条件を有している人

2.既にネット・せどらーは流行出して、これから過当競争になるであろうこと。 従って、価格競争(安売り競争)になっていく可能性があること。

3.ネット・ビジネスとは言え、本質的には物理的に結構重く場所をとる商品(本)の(大量)在庫ビジネスであることより、売れ残りの不良性在庫リスクが高い。(何割かの廃棄損は経理的に織り込みが必要、実際に売れ残り本を再度ブックオフに持ち込む人も多いらしい。)

という訳で「そうそう甘くはない。 ネット古本屋の店主という響きの誘惑だけでは利益を出しつつ楽しく継続してゆくのは容易くはない」というのが結論です。   手持ちの不要となった本は無駄に捨てるのではなくマーケットプレイスに出品して延命を計ってやるのが良さそうです。

しかし、団塊世代ならではの何か(+アルファ)やひねり(広がりとか楽しさなど)が加われば面白いテーマに変化するかもしれません。

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