2005年06月09日

海外調達の損得勘定(1)

パソコンの海外調達

海外調達の損得勘定(1)

次期の98FELLOWから、更に低価格化を目指して初の海外(台湾)からの調達に踏み出すべく予備調査が始まりました。

後に95年1月に遂に10万円を切った9.8万円の標準価格をつけた第3世代98FELLOWの「低価格宣言! PC9801BX3」として発売されることとなります。

 

低価格を実現する手段として、よく海外生産・調達(最近では中国生産)がキーワードとして出てきますが、それでは、当時の台湾からの海外調達で本当にどの程度安くできるのでしょうか? まずは、その目安を立てるシュミレーションが必要です。

 

一般に海外調達すれば「3、4割は安くなる」という安易なイメージがありますが、商品によって事情が異なりますし、最近は正確には承知していませんが、パソコンの場合に海外に生産を移すだけで簡単に3割以上も安くなるならば、苦労はありませんし国内製造工場は壊滅してしまいます。

 図5:海外調達のコスト効果

93〜94年頃のパソコンの例では、プリント基板や電源盤などの特定の部品は台湾が2割程度安かったですが、日本での調達価格とそれほど変わらない部品もあり、価格差はまだら模様で、積み上げ比較をする必要があります。 また、当時の台湾の人件費は日本と比べてワーカーが1/3程度、技術者が1/2程度でした。

[↑図:海外調達のコスト効果のシュミレーション例]

 

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既にユニット、部品レベルは海外から調達をしていました。例えば、電源盤やケーブル類、一部の小物の基板など国内よりも安い部品はカスタマイズ仕様を出して台湾や香港からの調達を実施していました。 

海外に出していなかったのはPC丸ごとの「装置生産」と大物ユニットでコスト比率の高い「マザーボード」でした。 いきなり、装置レベルの海外生産シフトはリスクも大きいため、まずは次なる海外ODMの対象を次期98FELLOWのマザーボードに設定しました。

そのマザーボードの「日本vs台湾価格のシュミレーション」の細かい結果は覚えていませんが、価格比較の大略や、その考え方は添付の図のようなことでした。

つまり、輸入関連費用や輸入品を国内でハンドリングするオーバーヘッド費用が掛かるため、海外での部品価格や人件費の安さが、そのまま享受できる訳ではなく、海外調達はしたけれど、苦労が多い割に実態として余り大きな効果が出せなかったという例も多いのです。

海外生産・調達においては図の(2)、(3)のオーバーヘッド費用を如何に効率化するかの企画やマネジメントが重要となってきます。

これは、現在でも効率的なグローバルSCMの1つの重要なテーマになっています。



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この記事へのコメント

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