2005年06月06日
間接販売と直接販売(直販モデル)
間接販売と直接販売(ネット直販)
黒船パソコン上陸が話題になった92〜93年頃は、日本におけるパソコン販売は個人向けには家電量販店やパソコン専門店での店頭販売が主流、企業向けには企業向けの卸系販売会社やシステム販社経由の販売が主流で、つまり流通チャネルを通した「間接販売」が主流でした。
「パソコンのネット直販」という新たなビジネスモデルは、その当時はまだまだインターネットも一般に普及をしていない時代で「ネットで直接販売する」ビジネスモデルについて、今日のように個人向けにも幅広く一般化するとは予想されていませんでした。
パソコンの世界で直接販売(直販モデル)が始まったのは93年1月にDELLが日本法人を設立してDELLダイレクトモデルと称して企業向けを中心に販売を開始した時でした。
これは最初は静かなスタートでしたが後の90年代後半には大きな市場改革(ネット直販&BTO→SCM→CRM)を引き起こした「第2のパソコンの黒船」とでもいうべき大変革の始まりでした。
では、パソコンのネット直販のビジネスモデルの最大の強みは間接販売に比べて安い価格で勝負できる点ですが、その「からくり」や「強みと弱み」はどのようなところにあるのでしょうか?
<直販モデルの強み>
1)販売店など下流の流通チャネルを通さないため、販売店の販売手数料やサポート費用などの中間マージンが掛からないため、その分、販売価格を低く設定できて価格優位性を出すことができる。
2)直販のため、販売店販売と比べて流通チャネルには基本的に製品在庫は存在しえない。従って売れ残りなどの流通チャネル側の不良性在庫資産を原理的にはゼロにできる。
3)ネット直販がメインであり、BTO(Build To Order:注文生産方式)としごく相性が良い。つまり、その日に注文を受けたモデルを注文台数だけ生産して売り切ることができ、原理的には工場側でも製品在庫をゼロとすることができる。
(但し、製品を作るための部品レベルでのある程度の在庫は必要)
4)「直販」の意味は、自らが中間チャネルを介在せずにエンドユーザーに売るということであり、売れ筋モデルの傾向や顧客の好みの変化などをきめ細かくダイレクトに把握ができる。従って市場分析を歪みがない形で迅速に実施できる。 それを販売戦略や新製品企画に的確に活かせる優位性がある。
このように見ると直販のビジネスモデルは良いことずくめのようですが、直販モデルは直販であるが故の弱み・短所も存在します。
1)直販モデル、即ちネット販売であるが故に、インターネットが使えるユー ザーに客層が限定される。つまり、ユーザー・カバレッジの面ではあるレベルの限界がある。
全国津々浦々の販売店網の販売力・総販売台数に比べると、ネット直販はそのカバレッジに限界があり、シャア・アップには限界があると考えられる。
2)ネット直販でユーザーに安心感を与えて購買に踏み切らせるためには、価格メリットだけでは駄目で、コールセンターやサポートセンターなどのユーザーサポート体制を提供する必要があり、その分、企業の費用負担が大きい。
(これは、間接販売の量販販売店の強みを考えてみると、逆の意味でその必要性が理解できる。個人ユーザーがインターネットではなく販売店で買う理由の1つは、いきつけの販売店が近くにあり、何か問題があれば販売店に問い合わせや相談ができアドバイスが直ぐに受けられるからである。特にパソコン初心者の場合はその傾向が強いのは当然である)
3)ネット販売ではパソコンの現物を見たり触ったりできない。また、色々なメーカーのパソコンを店頭のように横並びで見比べてみることもできない。
直ぐに欲しい場合もその日に買って持って帰ることができない。 注文してから自宅に届くまで1週間ほどかかる。(最近は3〜4日と早くなった)送料も掛かる。
万一、不良品だった場合は販売店のように直ぐに持ち込んで交換してもらえず時間が掛かる。
以上、直販モデルを間接販売との対比でその強みと弱みの概観しましたが、DELLなど直販主体メーカーは上記の直販モデルの弱みを克服する努力を長年積み重ねている。(例えば、ネットで注文から納入までの日数短縮の努力、ネットの特性を活かした色々なカスタマイズ付き注文(CTO:Configared To Order)が簡単にできるようにして店頭販売モデルとの差別化、送料無料サービス、リアル店舗による間接販売も一部併用ーーなど)
一方で、間接販売主体の日本大手パソコンメーカーは、間接販売を主力としつつ、ネット販売も併用し間接販売の弱みを軽減する施策を打っています。(例えば、NECは日本のパソコン大手としては先陣を切って98年に企業向けPCでBTO&CTOを開始、99年には個人向けにもネット直販(121@store、現在のNEC Direct)を最初に開始している。 他の富士通、SONYなど大手も同様にネット直販を店頭販売と併用する形で順次開始をしている。)
現在も双方がその販売方式の強みを維持しつつ、相手側の販売方式の強みを自分のビジネスモデルにも取り入れて競争をしている構図となっています。
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